「当面」と「当分」の使い分け

コロナ禍でよく使われている言葉に「当面の間」というのがあります。
これまで役所の文書などであったのは、これとよく似た「当分の間」でした。
「当面」と「当分」はどう違うのでしょうか。

結論をいえば、指し示す時間軸が違います。
「当面」は「さしあたり」、「当分」はそれより長い期間を表すそうです。
つまり、時の長短で言えば次のようになります。

当面<当分

確かに役所の文書なんかで「なお、当分の間○○も認める」とあれば、私たちは”○○は経過措置だけど(対象者がいなくなるぐらいまでの長期間)本来の要件と同様に認めるんだろうな”と意味を取っていました。
いわゆる「あうんの呼吸」ってやつですが、国語的にもそれに近い意味だったんですね。

「当面」の意味を知ってしまうと、先ほどの文書がもし「当面の間○○認める」なんてことになっていた場合、ちょっと緊張してしまいそうです。
個人的には、本来的にだめなものは、たとえ経過措置中であってもだめ、というのが美しいと思います。
ですが、おおかたは「今のうちに急げ」になるのは目に見えています。
私自身も、美学に殉じて経過措置に乗らないかといえば、必ずしも・・・、いや、おそらく乗ると思います。いやはや。

言葉は丁寧に使い、また読まないといけないな、と思いました。

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