救護施設の個別支援計画。保護施設版の様式には置き換えないことになりました。

令和6年度救護施設経営者・施設長会議が、5月23日~24日東京都千代田区の灘尾ホールで開催された。
今回の会議では、この春の法律・制度改正を受けて救護施設の事業運営がどう変わるかが話題の中心だった。その中でも、個別支援計画の制度化がどのような影響を与えるかに焦点があたった。

会議での説明は次のようなことだった。
・個別支援計画の制度化についてはこの会議の時点で省令が発出されておらず不明である。
・だが、個別支援計画を作成して支援を行う取り組みは、すでにほぼすべての救護施設で行われおり、制度化によってまったく新しいことに取り組むのではない。
・個別支援計画の作成手順は、現在およそ3/4の救護施設が使っている『全救協版救護施設個別支援計画書』(2019年版)のとおりであり、これは制度化以降も変わらない。
・今回、厚生労働省からの受託事業として全国社会福祉協議会が新しく案出した保護施設(救護施設、更生施設)版「個別支援計画書(様式例)」は、個別支援計画制度化の目的である福祉事務所との情報共有・連携のためのものである。
・すなわち、「個別支援計画書(様式例)」の使い方としては、従前のとおり『全救協版救護施設個別支援計画書』(2019年版)で個別支援計画を作成し、そのエッセンスを転記するような感じになると想定している。
・制度化によるもっとも大きな変化は、福祉事務所に施設で作成した個別支援計画が渡るということである。これによって、これまで施設内(利用者・職員間)で完結していた個別支援計画が外部の目に触れることになる。これによって、当然その適否と実行の有無が福祉事務所から問われることになるだろう。
・時間が経ち、福祉事務所に救護施設から提出された個別支援計画が積み上がってくると、福祉事務所は、それぞれの救護施設が行っている支援の違いが判るようになる。
・それが、それぞれの救護施設の強みを知り、来談者をより適した救護施設に措置するというようによい方向に活用されるのか、単純に「いい施設、悪い施設」のような形で選別に使われるのかは、今のところなんとも言い難い。
・個別支援計画の制度化を契機として、それぞれの救護施設が持つ強み弱みを地域あるいは全国の救護施設で補いあうことで、そのレジリエンスを高められればと思っている。

以上は前嶋の理解による聞き書きである。言葉も前嶋の理解によって適宜置き換えている。

この説明中、前嶋個人としては次のところが大変重要だった。
「保護施設版「個別支援計画書(様式例)」の使い方としては、従前のとおり『全救協版救護施設個別支援計画書』(2019年版)で個別支援計画を作成し、そのエッセンスを転記するような感じになると想定」

救護施設の個別支援計画に当初から関わっている私にとって、これは大変な重要な整理だと感じた。
「個別支援計画書(様式例)」については、その項目を委員会で検討してる時から2019年版との取り合いをどうするかが議論になっていた。しかし、この会議までは結論めいたものがどこにも無かった。
このため、現場では作成手順をできるだけ簡略化したいという思いから、保護施設版の「個別支援計画書(様式例)」と2019年版で項目が重複している「ニーズ整理表」「支援計画」「同意書」を置き換えられるのではないかとの意見が支配的だった。私も研修等で尋ねられると、そういうアレンジが可能かもしれないと答えてきた。
ところが、今回の説明で、これは明確に否定された。この度の制度化によって、救護施設の個別支援計画は変わらない。福祉事務所との情報共有・連携用として、新たに保護施設版「個別支援計画書(様式例)」が加わるのであると整理されたのである。
個人的には、この整理に大変満足している。同時に、これまで現場の空気を「忖度」してお話してきたことを改めなければならない。ミスリードをお詫びしたい。

さて、みなさん。大変な説明がありました。
上のとおり、保護施設版「個別支援計画書(様式例)」は福祉事務所との情報共有用です。救護施設の個別支援計画は、これまでと同様に『全救協版救護施設個別支援計画書』(2019年版)を使って作成しましょう。その上で、どちらも施設ごとにアレンジはできますので、手数を減らしたい施設はできるだけ省力化を考えましょう。

そういえば、私、先月もどこかの研修で「置き換えできるかも」って言ってしまいました。
これは、訂正行脚に出ないといけないかも。

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