飲んでますか、コーヒー。
わたしはコーヒー好きです。
まあ、めちゃくちゃ好きとか詳しいっていうんじゃないですけど、仕事帰りにスタバに立ち寄るぐらいには好きです。
最近は、夕方以降に飲むと睡眠の質が下がるとか、いろいろと言われてるのでどうしようかとは思っています。このことはまた改めて書きます。
今日の本題は「コーヒー界隈が知らないうちに科学的になってた件」です。
いやーすごいことになってますよ、コーヒー界隈。
この前、コーヒー専門店の若手社員A君と話しをする機会があったんです。
びっくりしました。彼がとうとうと語ったのは「Brix」「TDS」「EY」「pH」なんていう、どっちかというと、白衣にマスク姿の科学者を思わせるような話だったんです。彼の言葉でわたしがかろうじて知っていたのはpHぐらいでした。「挽き立ての味と香り」とか「名人が淹れるコーヒー」なんていうのを喜んでたのは、いつのころでしたっけ。
上で出てきた科学みたいなコーヒー用語について、教わったのでメモしました。どうもこれを知らずに今のコーヒーシーンは見え無さそうだったので(サンプル数n=1)。
メモは、ほぼ記憶に頼っています。それに自分の知識をまぜて書いているので間違っていたらごめんなさい。
【Brix】
Brixとは「糖度」です。糖度は100g中にショ糖(砂糖)、果糖、転化糖、ブドウ糖などがどのぐらい含まれているかを%であらわしたものです。
これを測るのが糖度計です。糖度計はおもに光の屈折を利用して測り、それをBrix〇%という単位で表示します。
たとえば、100gのショ糖液にショ糖が1g溶けていたら、Brix値は1%です。
ここで注意が必要なのは、Brix値は糖以外の成分も含んで表示するってことです。
たとえば、炭水化物やタンパク質、リン、カルシウム、ナトリウムなんかが入っているとそれも含んだ値が表示されます。
では、コーヒーの濃さを知りたい場合は、どうするか。
まず、砂糖やミルクの入っていないブラックコーヒーを用意します。これで、Brix値から糖の影響を排除します。
それを糖度計に掛けます。
すると、糖度計は糖以外の水に溶ける成分(これを可用性固形物といいます)の濃さをBrix値として表示します。
水でコーヒーを抽出しただけだと、可用性固形物はすべてコーヒー豆由来のはずです(説明を簡単にするため、水質の影響は考えないことにします)。
このBrix値からコーヒーの成分がどれぐらい含まれているかを知るには、示された値に0.79を掛けます。
どうして0.79なのかは教わったんですが忘れてしまいました。とにかく記憶によれば0.79です。
これで出た結果が、次のTDS値です。
【TDS】(Total Dissolved Solids =総溶解固形物)
TDSは、その水に溶けている総ての物の濃度を表す値です。それを測るための道具として、TDS計とかコーヒー濃度計なんでいうのがあるみたいです。
Brixのところで書いたように、Brix値がわかればそれに0.79を掛けてTDS値を求めることができます。
Brix値×0.79。これで得られた数値がコーヒーに入っているコーヒー成分の割合です。
たとえば、Brix値が1.3%だったらTDS値は1.0%になります。
一般にTDS値は、ドリップコーヒーでは1%前後、エスプレッソでは8~9%だそうです。
【EY】(Extraction Yield=収率)
EYというのは、使ったコーヒー豆の成分がどのぐらいコーヒーに抽出されたかを表す数値です。EYを求める計算式は、こんな感じです。
EY=(抽出したコーヒーの量(g)×TDS(%))÷使ったコーヒー豆の量(g)×100(%)
たとえば、スターバックスのドリップコーヒー(ショートサイズ)240グラムのTDSを測ったとします。TDSが1.0%だったら、そのコーヒーには2.4gのコーヒー成分が抽出されています。このコーヒーを抽出するのにスターバックスがコーヒー豆12gを使っていたら、抽出された成分の割合は20%です。この20%がEYです。
ドリップコーヒーの適正なEYは18%~22%らしいです。EYがそれより高すぎると、味が強く飲みにくさを感じるようになり、反対に低すぎると薄くて味気なくなるそうです。これは想像できますね。
【pH】(Potential Hydrogen=水素イオン指数)
まずおさらいです。pHは0~14の数値で表されます。数字が小さいほど酸性度が強く、大きいほどアルカリ性が強いことを示します。中性はpH7です。
コーヒーのpHは5前後です。つまり弱酸性です。
コーヒーのpHはいろいろな要素で変化します。
まず、水の影響は決定的です。なにしろドリップコーヒーは99%が水です。コーヒーのpHはどんな水を使うかで決まります。
また、豆の産地も影響を与えます。たとえば、ケニアやマンデリンなどの酸味が強いコーヒー豆で淹れるとpH4ぐらいになるそうです。
さらに、焙煎によっても変わります。深煎りにすると弱酸性から中性寄りになるそうです。
今、というか少し前からだそうですが、研究熱心なコーヒー専門家はこんなことも考えながらコーヒーを淹れているそうです。
話しを聞いていて、これってスペインにあった三つ星レストラン「エル・ブジ(=El Bulli)」のオーナシェフ、フェラン・アドレア氏がいう「分子ガストロノミー」に少し似ているかなと思いました。いや、違うか。
Aさん、ありがとう。楽しいお話でした。もしこれを読まれて間違いに気づかれたら教えてください。